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脳の周期について
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体内時計という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、脳にもいくつかの
周期というものがあります。
まず、約25時間(1日)の周期をサーカディアンリズム(概日周期)と呼びます。
ヒトの代表的なサーカディアンリズムには、睡眠から覚醒の周期があります。
サーカディアンリズムの周期を刻む体内時計は視床下部の視床交叉上核というと
ころにあるのです。
また、1日よりも長い周期をインフラディアンリズム(長日周期)と呼びます。
女性の月経や、動物たちの冬眠がインフラディアンリズムにあたり、女性
の月経周期は体温変化のサーカディアンリズムと関係しています。
一日の中で1回もしくは数回繰り返される周期をウルトラディアンリズム(短日
周期)と呼び人間の6〜8時間の睡眠の中で繰り返される周期がそれにあたり
ます。
またヒトの体温は1日の中でも変化しています。午後になると体温は上がり、睡眠
中の午前2時から5時くらいが一番低いのです。体温が低いときは眠気を感じ、
高いときは活動的になります。
しかし時々このサーカディアンリズムが狂うときがあります。
多くの方が体験したことのある「時差ぼけ」がそうなのです。
たとえば10時間以上のフライトなど、海外に出かけるために長時間飛行機に乗る
ことはざらにありますが、そういう場合現地に到着すると、自分の体内時計は午後
10時なのに現地時間は午前7時だったりします。
そうなると、しばらくの間 夜眠れなかったり、胃腸の具合が悪くなることがあります。
このような「時差ぼけ」の対策としては、旅行前から現地の時間に沿って生活する、
現地に着いてからは体内時計が夜でも現地時間が朝なら寝ないで我慢するといっ
たところでしょう。
ヒトの睡眠の周期は、浅い眠りと深い眠りの繰り返しです。また、脳波によりどんな
眠りになっているかが分かります。
δ(デルタ)波やθ(シータ)波などのゆっくりした波形が出ているときは、深い眠りの
「Non-REM(ノンレム)睡眠」が起こっています。
それに対しα(アルファー)波やβ(ベーター)波が出ているときは、浅い眠りの「REM
(レム)睡眠」が起こっています。REM 睡眠時は、まるで覚醒しているように眼球が
早く動きますが、REM 睡眠時でも、睡眠が深い状態になって、手足が麻痺したよう
になる事もあります。
またREM 睡眠中に無理やり起こされた人は、夢を見ていることが多いのです。
Non-REM 睡眠とREM 睡眠は1時間半〜2時間のサイクルで睡眠中交互に起
こっています。
覚醒するときには神経伝達物質のノルアドレナリンの分泌が亢進され、REM 睡眠
時は神経伝達物質のアセチルコリンが関与しています。また、Non-REM 睡眠時は
セロトニンの働きが活発になっています。
大脳が発達した哺乳類や鳥類にだけにNon-REM 睡眠はあるのですが、これは
進化した新しい眠りだといえるでしょう。
それに対し、哺乳類と鳥類以外のREM 睡眠というのは原始的な眠りであるといえ
ます。
頭蓋骨の下にある松果体という部分が、十分に太陽の光を受けることによって
サーカディアンリズムは規則的になります。これは太陽の光を浴びることにより
松果体からメラトニンとよばれるホルモンが分泌されるからです。メラトニンとは、
睡眠から覚醒するときに必要なホルモンです。
たとえばヒトが、長期間 真っ暗な洞窟で生活した場合少しづつ時間の感覚はず
れていき1日が24時間よりも長い25時間と感じられるようになり、朝昼が逆転して
しまいます。
これは太陽の光を長期間浴びないためにサーカディアンリズムが狂い少しづつ体内
時計がずれていってしまうからです。
このようにヒトが太陽の光を十分に浴びるということが、脳のリズムを正常に保つため
にいかに必要かがおわかりでしょう。
日々の生活で徹夜をしたり、睡眠時間が少なく眠いときなどは朝の太陽の光を
思いっきり浴びましょう。
そうすれば、体内時計の針を元に戻すことができるのです。
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